top of page

GWで考えたこと①~痴漢・盗撮夫の妻との関係について~


こんにちは。元熱血教員で不祥事教員、現ピアサポーターのぬっぺふです 。

今回は月に一度の性犯罪加害のグループワークにて気づいたこと考えたことをまとめていこうと思います。


なお、グループワークで誰かが話した内容を本人の許可なく勝手にブログにまとめるわけにはいかないので、あくまで他者の発言等を受けてぬっぺふが考えたことにしぼります。

また、考えたことなので論文などに即して書いた記事ではありません。ゆえに、意見の1つとして読んで頂ければと思います。


では、いってみましょう!




 

1.離婚しない夫婦の課題




 性犯罪加害の中でも痴漢や盗撮は家族を持っている方が多いという情報は有名です。では、事件後はどうなのか。性犯罪加害者と一緒にいるなんて無理!絶対離婚!という人が多いと思いますが、実際は必ず離婚というわけでもありません。特にある程度の年齢になった方は離婚に至っていない印象はあります

 個人的な印象なのですが…


1

夫が会社を辞めないですんでいる

2

まだ共働きが主流ではなかった時代ゆえ妻がパートか専業主婦である ※①、②より経済的主柱は依然夫にある状況

3

 長年の夫婦生活で夫が日常の中に組み込まれており、【離婚して全てを新しくやり直す手間】より【配偶者の悪癖の手綱を取る手間】の方が精神的な負担が少ない

 …というような条件が重なると即離婚に発展しないのかもしれません。


 一方、子どもが幼かったケースなどで子のために離婚はしないという「子はかすがい」なケースもあります。

 ※ぬっぺふはこのケースですが、法的には離婚しており事実婚状態です。

 

 さて、妻との関係をどう再構築していくのかはとても難しい問題です。相手が女性である以上、性犯罪加害に対する生理的嫌悪感は否めませんし、何より夫婦という信頼関係に対する裏切り行為なわけで。

 離婚せずにいてくれたということは夫を信じたいという気持ちはないわけではないのでしょうが……


 こうした時、


 ①つい自分の再犯防止や自己分析を進めて見えてきた自分の生きにくさに捕らわれ

  被害者のような立ち回りをしてしまう


 ②妻の目が怖くなって距離をおいてしまう


 ③子どもと向き合わない


 といった行動をとってしまえば、夫婦の心の溝は更に深まるばかりです。

 では、加害者として何を意識していかなくてはならないのか。妻の信頼を取り戻していくために、加害者は何を大切にすべきなのか



 

2.加害者が妻との関係において意識すべきこと


 さて、とは言ったもののここから先はぬっぺふの経験と、グループワークでの皆さんの発言から見えてきたものを組み合わせた推測でしかありません。唯一無二の真実ではないため、妄信はしないで頂ければと思います。


 加害者が妻との関係において意識すべきことは、おそらく前項で取り上げた行動の逆を行くことです。つまり、


×つい自分の再犯防止や自己分析を進めて見えてきた自身の生きにくさに囚われ、

 被害者のような立ち回りをしてしまう

        ⇅

〇自身の被害者性に気付いたとしても、加害者としての責任を持ち続ける

  ※自身の被害者性を無視しろという意味ではありません。

        

×妻の目が怖くなって距離をおいてしまう

        ⇅

〇気まずさはあっても妻と同じ空間で対話をしていく


×子どもと向き合わない

        ⇅

〇子どもと向き合う

  

 このあたりが最低限のポイントになってくる印象です。


 例えば、ぬっぺふの場合は自分が再犯防止のために考えたことやカウンセリングで話したこと、不機嫌になってしまったとしたら何が自分の心をえぐったのか、それらを常に報告していました。妻はそれに対して「犯罪ってわかっててなんで止められなかったの」「私以外の女性を性的な目で見て、浮気と一緒だよね」といった忌憚ない意見を言ってくれました。

 

 例えるなら、毎日自分というパズルを組み上げて「こんなのはどうか」と見せにいき、「それはまだ独りよがりなんじゃないの」といった客観的な意見を貰って再度パズルに取り組む。

 そんなことを繰り返す中で、自身の思考整理とともに妻の自分に対する目線が変化していったように感じます。

 

 無論、全ての家庭でそうした形が好ましいのかはわかりませんが、問題をタブー視せずちゃんとちゃぶ台の上に乗せて「自身の再発防止に向けた取り組み」を伝えていくことは大事なのではないかと思います。

 

 また、自分自身が妻や家族と今後どのように生きていきたいと思っているのかを明確に持つことも重要です。それが伝わってこなければ妻は何を信じればいいというのか。そうした意味からも、子どもとどう向き合っているかは大切です。

 

 当然、加害の件が子どもには伏せてあるケース、明らかになっているケース、子どもが幼いケース、思春期のケース、性別の違い…。場合によっては子ども自身が被害者というケースもあるでしょうから向き合いたくても向き合えないということは多分にあると思われます。

 ですが、それでも子どものためにどう生きていこうとしているかを示すことは出来ます。そしてそれを妻と相談していくこともできます。 


 よく言われることなのですが、加害者家族はいつまでも事件のことを忘れません。加害者自身が徐々に日常に戻り始めたとしても、家族は常に事件のトラウマと再発の危険を感じ続けています。

 

 加害者は自身の分析を続け再発防止に努めれば務めるほど、「まだ信用してもらえないのか」と感じるかもしれません。ですが、それは背負うしかない加害者の責任です。むしろ、「まだ信用させられない何かが自分にあるのだ」と捉えることが大切です。

 

 気まずいからと向き合わないでいれば家族の不信はつのり、自身のパズルは一人よがりになっていきます。依存症の記事で挙げましたが、家族の基本形は「夫―妻」の関係です。ここが正常に機能するからこそ、子どもは安心して子どもになれる


 夫婦関係は千差万別ですし、どのようなやり方がベストなのかはわかりませんが、加害者側から遠ざかってしまわないように気をつけましょう


 

3.注意すること



 さて、今回は妻との関係を軸に考えをまとめてみましたが、妻にかかわらず家族とどのような関係を結んでいくかは加害者にとって大きな悩みでしょう。


 というのも、そもそも自分の加害の遠因に「家族の神話(=その家族の中に浸透している独自ルールのような考え方。呪いと言い換えてもいいでしょう)」が関係していたり、父母の不仲(アル中、虐待、浮気…)等があることは多いからです。


 ※例えば、あなたには反抗期がありましたか?親が過干渉であったり、家族のバランスが悪く安心して子どもを演じられない状況があったり、親が圧倒的強者として君臨し思想的にも支配されていたりするケースの場合、反抗期が発生しないことがあります。そして、そのひずみが大人になってから本人を苦しめることも多々あるのです。


 こうした家庭だった場合は、「対話」を繰り返して家族との距離を詰めるのではなく逆に適度に離れることが必要なこともあるでしょう。同様に、夫婦の関係が既に破綻していたりするケースでは、いっそそれぞれ別の生き方を探った方が健康的なこともあります。


 また、夫婦関係で注意したいのは「共依存(特定の他者との関係性への依存)」の形に入ってしまうことです。

※虐待やアル中の夫とそれを健気に支える妻という形が有名です。この場合夫は妻に寄りかかり、寄りかかられているように見える妻も実はその立ち位置に立つことで「私がいないとこの人はダメになる(=存在価値の再確認)」や「ダメな夫を支える良妻(=周囲からの評価)」を獲得していることになります。お互いに依存しあっている状態です。


 …「共依存」状態の夫婦関係は健全とはいいがたいです。特に子がいる場合は、夫が安心して子の立ち位置に立つことにより子が夫の立ち位置にならざるを得ない(=いわゆるアダルトチルドレン化)にも繋がるため闇が深い。



 一見夫婦間が安定して見えたとしても、実はそうした不健全な夫婦関係に陥っていないかは気を付けてみていく必要はあるでしょう。


 

4.おわりに



加害が明らかになった時、不祥事を起こした時というのは自分が今まで積み上げた人生というパズルが全て間違いだったような衝撃を受けるものです。

※受けない方は「事実を認めたくない」という心理的防衛が働いているか、「認知のゆがみ(=脳内に出来てしまった一般的にはおかしいとされる自分ルール)」があるのかもしれません。


 ですが、そのパズルの問題は大体の場合根っこの土台の方にあるため、組みなおすためには人生をバラバラにして再構築するような努力が必要だったりします。

 まったく組まずにバラバラの状態で人に見せても、相手は何も言えません。かといって、一人でずっと黙々と組みなおしていると歪みに気付かず「俺がこうなったのは世界が悪い!」といった極端な思考に陥ってしまうこともあります。

 



 自分なりにパズルを組んで、不細工でも人に見せる。その時は厳しい感想を受けたりしてショックを受けることもあるかもしれません。ですが、他者に見せることで、他者の意見をもらうことで、あなたのパズルには今まで無かった新しいピースが手に入るのです。

 そうした意味でも、最も身近にいる他者…「妻」と向き合うことはやはり重要なのだと思います。

 

 以上です。身近な他者とどう向き合っていくかは難しい課題ですが、目をそらすことができない課題と思います。あくまで一意見ではありますが、何かの参考になったなら恐悦至極です。

 では、またいずれ!

閲覧数:150回0件のコメント

コメント


bottom of page