top of page
ぬっぺふ

とっても深刻な発達障害と眠気の問題



 どうも。元熱血教員で不祥事教員、現社会福祉士でピアサポーターのぬっぺふです。

発達障害には色々な症例がありますが、今回はその中でも最も自分の生き辛さにつながったとも言える「眠気」について触れたいと思います。

 たかが眠気。されど眠気です。眠気は人生のクオリティ(QOL)に直結する、決して軽視してはいけない体のサインです。

 というわけで、発達障害と眠気について、早速いってみましょう。

 

1.発達障害の方の半数に見られるという眠気の問題


 発達障害と眠気の関係性については、ここ数年で大分認知が進んできておりインターネット等で調べれば関連する情報がいくらでも手に入る時代となってきています。

 一般的には「発達障害の方の約半数」が日中の強い眠気に悩んでいるとされており、その眠気の強さたるや、「常人では耐えられない強度」とのことです。多くの場合症状が現れるのは思春期からとされており、私ぬっぺふも小6あたりから急激な眠気に悩まされてきました。


 この眠気、やっかいなことになかなか原因断定に至らないのです

 私の場合も「これはどうも異常なのではないか」とナルコレプシーであったり睡眠時無呼吸症候群を疑ったりしたのですが、検査の結果は白。睡眠の深さは問題ないとのことでますます原因がわからないもやもやがつきまといました。


 基本的に教員という仕事は多忙ですし、私の場合は要領の悪さを長時間労働で誤魔化すという対応をしていたこともあり慢性的な寝不足ではあったかとは思うので、「疲れているのか」と言い聞かせてきましたが、どうもそれだけではなかったようで。最近になり発達障害と眠気の関係性が論文等で出てくるようになり、「自分の努力不足ではなかった」と安心したのを覚えています。


 

2.眠気の原因


 もともと発達障害傾向を持つ方はストレスを受けた際「やるべきことや睡眠時間を削ってでも解消の手立てを求める」という傾向があることは知られており、気持ちの切り替えが苦手で過集中となることもあいまって生活リズムが崩れてしまう…夜間までテレビやゲームを見てしまい睡眠の質が低い…等の考え方が眠気についての解説の主流でした。

 

 ですが、近年になって遺伝的・体質的に眠気に捉われやすい(脳内の覚醒度を司るドーパミンの伝達不足など)など本人の努力とは関係のないところにも原因があることがわかってきました。どんなに集中しようと思っても、興味がわかないものに向き合った瞬間意識がとんでしまったりするのです。


 あくまでぬっぺふの感覚ですが、ふとした時にいきなり殴られたような強烈な眠気がやってきます。つい数分前までは集中していたつもりでも急に夢の世界にいるのです。ひどいときは授業中にこの眠気がやってきて、「眠くなってきた…頑張れおれ!」と一生懸命話している際一瞬意識が飛びました。

 ええ、一瞬私は夢の中にいました。それでも口は動いていたようです。

 我に返ってから生徒に「今おれ変なこといってなかった?」と聞いたら「はい」との返答。授業内容と全く関係ない話をいきなりしだしたもののあまりに自然な口調だったため、生徒達も反応に困っていたようでした


 無論、私のケースの場合は単純な体質だけではなく、


①教員という仕事に過剰に適応しようとしている中での慢性的な睡眠不足

②もともと言われていたような「発達障害の特性から来る生活リズムの乱れ」


(私の場合は酒もたばこもやらない代わりに性的な刺激に依存していたため、どんなに疲れていても眠る前にポルノをみたりマスターベーションをしないと眠りにつくことができない時期もありました。当然眠る前に脳に刺激を与えているわけですから睡眠の質は悪くなります。寝酒ならぬ寝ポルノです)


も重なってのことではあったと思うのですが、どんなに前日眠っていたとしても急に訪れる「殴られるような眠気」のためにただでさえ低い仕事の効率がさらに低くなっておりそんな自分に腹を立てていたことを覚えています



 

3.眠気のもたらす弊害1 自信の喪失


 この眠気なのですが、たしかにメジャーになってきた情報とはいえまだ教科書等にのるレベルの情報というわけではなく、一般の…いわゆる定型発達の方はまだまだ知らないことも多い情報です。また知っていたとしても最新の情報までは知らないがために、「つまるところ生活リズムが悪いからだろう?」と思ってしまう方もいます。


 そのため、熱心に参加しようと思っているのに研修中や会議中にどうしても眠くなってしまったり、部活の練習試合中に眠気が襲ってきたりする様子を見て、周囲から怒られたり文句を言われたりすることはあるわけです。「お前が頑張っているのはわかるが、あれはないよね」と。

 こうした眠気から来る自信の喪失は地味に効いてきます。いわゆる、普通の人ができていることができていない辛さです。そしてここから次の弊害が派生します。


 

4.眠気のもたらす弊害2 覚醒状態を維持するための依存


 ここで再度過去の私を示したイラストを出してみます。


 全部ぬっぺふが眠気との闘いの中で繰り返してきた対処法です。


 たかが眠気と侮るなかれ。人間の3大欲求の1つです。振り払うにはそれ相応の刺激が必要になります。

 結果、「覚醒状態を維持するために不健康的な対処を繰り返す」ことになってしまう可能性があるのです。そしてその中には一種の依存に近い状況もあったりします。


 ぬっぺふの左手には黒い傷跡が残っています(もう大分うすくなりましたが)。予備校の授業中に眠くなってしまう自分に腹がたち、シャープペンで左手を掻き毟った際、芯の色素が皮膚に残ってしまった部分です。自傷行為は眠くなってしまう自分を罰するという意味でも気分のいい方法だったため、そういう意味でも依存性がある行為だったのでしょう。

 同じ3大欲求である食やポルノも一時的な覚醒維持には使えるので多用しました。眠くなったらともかく何かを口に運ぶ癖が今でも抜けません。長時間の運転時等は沢山のお菓子を持っていないと落ち着かないくらいでしたし、空き時間に授業作りを始めると即眠くなるので、時にはトイレでポルノを見て覚醒を維持しようとしていました。

 あとは薬物です。当時は精神科から覚醒作用のある薬物はもらっていなかったため市販品のカフェインが含まれている錠剤やいわゆるエナジードリンクを常備し常に口に放り込んでいました。まあひどい時はカフェインなんかじゃ効かないんですけどね…


 さてこうした対処法は一時的には効果を出すことはあっても慢性的な眠気の解決には至らないのです。 なぜならば問題の根本的な原因を解決するものではないからです 。結果こうした対応もやがて体は慣れていき、ものを食べながらでもポルノを見ながらでもそれこそ会議中に膝立ちしながらでも眠れてしまう状態になってしまいます。

 ここまで行っても私はこの眠気の正体を自分の不摂生からくる睡眠不足つまり自分の不足からくるものであるとしか認識ができませんでした。 いや、明らかに異常なんですけどね。

 

 上記のようにたかが眠気ではありますが、その眠気にどのように対処していくかの中で自傷行為であったり薬物、食や性というものへの依存といった誤った対処法を強めてしまう原因にもなりかねないのです。



 

5.最後に


  発達障害には様々な症状がありますが、今までお伝えしたような理由から私はこの眠気というものがもっと主症状の一つとして取り上げられていくことが大切だと感じています


 特に世の男というものは寝てない自慢が大好きです。 社会人として働けば必ず「俺は昨日3時間しか寝ていない」と言いながらバリバリ働く人達が身の回りに現れます。


 そうした環境の中で「やはり自分の努力が足りないのだ」と捉えてしまった時に問題行動への入口が開いているように感じるのです。

 

 無論眠気が生じる理由を全て発達障害の特性として正当化してしまう可能性を危惧する意見があるのも理解はしています。

  ですが私は授業の空き時間等に昼寝をしてしまう先生と、眠気を解消するために不健康な依存を繰り返し最終的に不祥事や事故を引き起こして現場に大きな傷跡を残してしまう先生とであれば、前者の方が平和かなと思います

 そもそも教員の仕事は多忙なのです。 昼寝をするぐらいの余裕がみんなにある職場の方がいい環境なのではないかなーと思うのは言いすぎでしょうか。


 発達障害を持つ人の 眠気についての理解が当事者にも定型発達の人にも広がっていくこと。これは案外発達障害当事者のQOL 向上に直結していくのではないかと思うのです。


 最後に。自身の体験の中ではありますが、今猛烈な眠気に苦しんでいる方へいくつか今後の対処のヒントとなるかもしれないことをまとめておこうと思います。

 まず当然ですが睡眠不足は眠気を強めます。が、発達障害の眠気については前日によく寝ている睡眠時間はある程度確保しているといったことと無関係に生じることがあります。 そしてその強烈な眠気は思春期から発生する事が多いです。そうした状況に自身を当てはめて、まずは発達障害由来の眠気の可能性を判断してみてください。


 また加齢とともに血行や身体状況が変化していく中、若い時であれば気にならなかった気圧の影響を受けるようになってきているという可能性もあります。特にうつ病などの気分障害は自律神経の失調を伴うことが多く天候の影響は大きいです。

 依存などで表面上は気づかないものの実はうつ状態になっていた…そのために自律神経の失調が始まり、また鬱本来の病状としての眠気も強まっているということも 。

 自身は発達障害の傾向はないと思うのだが…という方も、あまりに強い眠気の場合は精神面の不調を疑ってみるのも一つの手です。


 こうした眠気はいわゆる睡眠の質であったり睡眠時無呼吸症候群の検査等では発見されないことがあります。

 そのためどうしようもない眠気に苦しんでいる場合は、他者に安易に相談するよりは精神面の専門家に相談したほうが次につながっていくことかと思います 。

(先ほどお話ししたように教員は「寝てないけど頑張っている」を自慢したい方が多いものなので、下手に相談をするとより自分を責めてしまうこともあるかと思いますので…)


 なお、精神科に行った場合は覚醒作用の強い薬を処方されることがあると思いますが、こうした薬はいわば覚せい剤に近いものでもあるため処方に関しては医師と相談しながら判断してください。


  最後に。 眠気を払ういちばんの方法は運動することでも食べることでも当然ポルノを見ることでもなく、他者と楽しく会話をすることです

 願わくば精神科による服薬、誤った対処法に依るのではなく、疲れた時に気軽に対話ができる仲間がたくさんいる現場で働けることをお祈りしております


 というわけで今回は発達障害の抱える眠気について自身の体験を元に記事をまとめてみました。 何か参考になれば幸いです。


ではまたいずれ…






 

 

 

 

Comments


bottom of page