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不祥事にも色々段階はありまして減給・停職・免職と様々ですがここでは最も重い懲戒免職の事案を想定して実体験から来るアドバイスをしていきたいと思います。
…これらのアドバイスはあくまで一体験による経験知からのものであり、全ての人が納得するものではないかと思いますが、自身に関係しそうなものだけでも持ち帰って頂ければと思います。なお、今回は概要です。個々の内容については後日また詳細に記していこうかと思います。
1.まずは自身の行為としっかり向き合いけじめをつけていく
家族のため、自分のため、少しでもダメージを軽減し事態を収束させる道はないか?と思考錯誤をしている所かもしれませんが、基本的になるようにしかなりません。
実名報道がされるかどうかは警察の判断次第、刑罰については警察の調書を元に検察が起判断。民事裁判となるかどうかについては示談の相談などはできますが最終的には被害者の一存によります。
つまるところ、すべて鍵は周り次第ということになり、貴方自身が今どんなに表層を取り繕ったとしても結果には大きく作用しないということです。
…こうした言い方をすると「では自分には何も出来ないのか?」と感じるかもしれませんが言いたいのはそういうことではありません。
今貴方にできること、すべきことは、先のことを考えすぎず、目の前にふってくる課題1つ1つにしっかり真摯に向き合って取り組んでいくこと、その姿勢を伝えていくことであるということです。
そして、しっかり目の前のことに向き合っていくためにも以下の4つを意識してほしいのです。
2.協力者を見つける
今あなたの味方となってくれる方はいますか。
ご家族があなたを支えてくれているのであればそれはとても幸福なことです。ですが多くの方は家族との間にも大きな隔たりを感じる状況かと思います。
ケースバイケースではありますが、懲戒免職にいたるようなケースの場合最低でも半年以上は決着にかかるもの。
…その長いトンネルを一人きりで進むのは過酷な道です。私の経験上、繋がるべき専門家は2方面です。
①法的側面
ともかく、事件が明るみに出たら迅速に弁護士につながるべきです。状況によっては学校にまだ内容が伝えられていないような形で取り調べが始まるケースもあるかと思います。そうした場合でも弁護士の方に相談に行き、今後の動きを相談すべきです。
教員の不祥事については経験値のある先生が少ない面もあるため、いきなり身近な弁護士事務所の扉を叩くというよりは、弁護士をつける前段階の相談を対応する窓口等に相談するのがよいかもしれません。
弁護士は先述した、今やるべきことを提示してくれるアドバイザーとなります。費用はおよそ100万前後と大きな金額ではありますが、それに見合う価値はあります。
②精神面
いわゆるカウンセラーや精神科がそれにあたります。
弁護士は法的な面のサポーターであり、メンタル面のサポーターではありません。
事件後は今後の不安から知らず知らずの内に自分中心の目線で相談をしてしまいがちですが、それに丁寧に共感してもらうことまで弁護士に求めるのは酷というものです。
起こした不祥事の内容にもよりますが体罰や性的な問題に関しては貴方自身の無意識と向き合っていくことが今後を考える上でとても重要になってきますし、長期戦を戦いぬくためには何でも話せる相手や必要に応じて薬の力を借りることも重要となってきます。
受診の理由は「弁護士に言われたから」でも「自身をアセスメントしてほしい」でもいいと思います。
なぜ貴方が社会的制裁があることをわかっていてなお、不祥事に該当する行為に至ってしまったのか。
…現状での理解でかまいません。つつみ隠さず伝えて分析してもらうべきです。
私の場合は初診の先生が熱心に話を聞いて下さり、
「発達障害的傾向を抱えていたものの、それを隠すために環境に過剰に適応していった結果ストレスのはけ口として性的なものへの依存が始まった」と自身の状況を整理してくれたことは大きかったです。
なお、注意点として精神科は2回目の診療からは5分程度のやりとりになることが多く、ゆっくり面談の時間を取ってくれない先生もいたりします。基本的に精神科の手法は服薬を通じた精神状況の安定の支援です。
そうした時に、カウンセラーは心強い存在です。保険適用外のためお金はかかりますが40分は自分の悩みを受け止めてくれます。このあたりの内容は詳しく後日説明させて頂きます。
※行為の背景を探ることは、渦中にいる際は言い訳探しをしているような気持ちになるかもしれません。ですが、それは違います。自己分析を続ける中で次第に見えてくるものがあり、それは今後の貴方の人生を支えてくれるものになるはずです。今は言い訳探しをしているような、もしくは警察への弁明を探っているようなばつの悪さがあるかもしれませんが…
3.使える制度をしっかり使い生き延びる
生き延びるために使える制度はしっかり使いましょう。懲戒免職の場合基本退職金は支給されません。が、いわゆる失業手当に該当する制度は利用可能です。
なお、失職するまで知らない方もいると思いますが、教職員は雇用保険に入っていません。そのため、失業手当含む雇用保険のサービスを利用できないと思ってしまう方がいるようですが、実は雇用保険とほぼ同じ制度を県教委の方で用意してくれています。
なので実際にはハローワークの用意している各種訓練を受けることも可能ですし、先述する失業手当ももらえます。もし精神科受診の際に隠れていた発達障害や双極性障害などが見つかり、障害者手帳を取ることができれば通常の90日を大幅に越える300日の支給が行われます。
こうした制度をしっかり利用して、生き延びて下さい。ただし、失業手当をもらうためにはハローワークに登録をすることが必要であり、事件が一段落する前の動きだしは警察の印象を悪くする可能性もあるようです。動きだしの時期については弁護士と相談しながら行ってください。
ちなみに。失職した際に意外と辛いのが我が子の保育園問題です。こちらについてももし障害者手帳をお持ちの場合は保育が必要な要件を求職活動から障害の療養に切り替えることで3か月のタイムリミットが無くなることがあります。保育課に相談してみてください。
障害者手帳は本来初診から半年たったのちに申請、その後1,2か月の後支給となりますが、以前に精神科等に通った経緯があればそこを初診にさかのぼって診断書を書くことが可能となることが多いです。おそらく不祥事を起こした教員の中にはそこに至るまでの間にメンタルクリニック等の受診をしているケースも多いのではないかと思います。
診断書が手に入り次第市役所の障害者福祉課にて申請を行うと、手帳と同様の効力を発揮する用紙を受け取ることができます。その用紙でも保育の要件変更は可能です。
4.警察は敵ではないですが、調書内容には注意
警察の取り調べ時の注意点は、なるべく正直に話すことかと思います。ただし、取り調べの最後に確認をすることになる調書の内容はしっかり目を通してください。自身の発言と違う受取方になってしまっている記述があるはずです。
警察が作った調書内容を元に検察は事件を判断します。あまり文句を言いすぎるのも…と思うかもしれませんが、「ここはこういうニュアンスのつもりでした」と伝えると意外とあっさり直してくれたりするようです。(ここに関しては対応して頂いた警察の方や事件の内容によっても違うかもしれませんが…)
5.時間の目安について
現状データが不足しているためあくまで私のケースでお伝えします。
私のケースでは発覚後即逮捕という形ではなかったため、逮捕から問題が発覚した方とは大きく内容が違ってくるかもしれません。そうした場合は情報提供して頂けるとありがたいです。
私のケースではまず早朝に警察が自宅にやってくるところからはじまりました。PC等が押収され、そのまま警察署へ。容疑についての確認が行われました。
翌日校長に事情を説明してから懲戒免職を伝えられるまで約1月ほどでした。その間は弁護士とのやりとり、警察からの聞き取り、教育委員会からの聞き取り等が続きます。
そして懲戒免職を告げられる日、はじめて情報が記者に流れます。大体の場合はその日か翌日のニュースには情報が流れることでしょう。
この日は一切メディアにふれない、またインターネットで検索をしないことをお勧めします。必要であれば落ち着いたあとに見ればいいのです(なお実名報道かどうかは警察側の基準となるため当日まではわかりません。印象としては被害者が校内におり、教員名が発覚することで特定されてしまうような場合は実名報道をさける傾向があるようです)。
話がそれましたが、最初の聞き取りからしばらくは警察からは連絡がなく(被害者からの聞き取りや押収したデータの確認等大変なようでした)、弁護士を通じての被害者への反省文の提出、示談交渉等が主な動きとなりました。それらの動向(被害者が刑事事件として告訴するかどうか等)を踏まえ、約2月たってから警察所での再度聞き取りとなり、それにて警察からの聞き取りは終わりとなりました。押収品もこのタイミングでの返却となりました。
この期間は状況によっても変わるので本当に一例です。嫌な例ですが、管轄内で陰惨な殺人事件等がおきれば人員はそちらに割り振られるため、内容自体は軽犯罪のことが多い不祥事対応は後回しにされることもあります。そうした場合はかなりの期間待たされることもあるようです。
警察の聞き取りが終わったとしてもまだ動きは続きます。
まず被害者が訴状提出すれば民事裁判の動きが始まります。
弁護士を通じて被害者との間では示談が成立していたとしても刑事訴訟は調書を読んだ検察の判断になりますので、即決着とはいきません。
私の場合は被害者の方とは示談が成立したこともあり警察の聞き取り終了から約半年後に検察の聞き取り、その場で略式起訴による罰金刑が言い渡されました。
まとめると、私のケースでは事件発覚から決着まで約8か月ほどかかったことになります。
…無論、民事裁判が起きたり、刑事訴訟の内容も略式起訴ではなく裁判を実施して、ということになればさらに時間がかかるでしょう。
何をいいたいかというと、焦って動きたいところではあるのですがどうしても長期戦になるということです。
そしてその間先の見えない不安、罪悪感、家族とのトラブルなどと向き合いながら、貴方は生きていくことになります。だからこそ先述したような味方が必要なのです。
ちなみに、求職活動については警察の取り調べが終わるとともに「どんどんやっていっていいですよ」と警察の方からは伝えられました。
ですが、実際に仕事を始めたとしても裁判となれば不定期に休まなくてはなりませんし、正直先は読めません。なので、私の場合は弁護士と相談の上でそのタイミングでハローワークにいき失業手当の手続きと職業訓練の予定を入れました。社会福祉士を目指すことを決意し勉強をはじめたのもこの時期です。
動きがきまるまでの待機期間の間全く何もできないわけではありません。その時その時で出来ることは見えてきますので、その時に向き合っていきましょう。やるべきことを遅らせるのは良くないですが、焦りは視野を狭め狭まった視野は不安のみを捉えがちですので…
以上、まだ伝えたいことは山ほどありますが焦っていい加減な情報を伝えてしまうことほど怖いことはありません。一度筆をおきます。
制度のことも細かく伝えたいですが、次回は当時の心境について当時の日記等ももとに書いてみようかと思います。
…先の見通せない霧の中、出来るのは身のまわりのこと、目の前のこと、そしてアドバイザーの言葉を信じて一歩ずつ進むことだけです。遠くに見える目的地にがむしゃらに走り出せば自分自身もアドバイザーも見失ってしまいます。まず、生きていること。一歩できることをやったこと。それで、今日はいいのだと思います
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