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心の病で相談する際に注意すること


 どうも。元熱血教員で不祥事教員、現社会福祉士でピアサポーターのぬっぺふです。

最近Twitterなどを見ていると、初任者はじめ多くの先生方が精神的に限界を迎えている様子が見えて心苦しい限りです。


 できれば、偏った対処法を覚えてしまう前にきちんとした相談相手に繋がってほしい。

 しかし、精神的なことを相談に行く際はそれなりに覚悟もいるでしょう。また、相談先を探す際、赴く際にはいくつか注意しておくべき事項も存在します。

 そこで、今回は精神的な相談にかかる際の注意点を挙げておこうと思います


早期に自分の不調に気付き、信頼できる医療や相談先と繋がることは貴方のQOL(人生の質)を向上させますし、万が一の不祥事の可能性も減らしてくれます。願わくば、良い形で協力者と繋がれることを祈っています。

 では、いってみましょう!


 

1.受診先を決定する際の注意事項


 まず、精神科に通うと新規の生命保険加入に制限がかかることがあります。そこだけはご注意ください。

 

 さて、心の不調を対応する場合、主に候補にあがるのは3つかと思います。

 

 1つは精神科。2つめは心療内科。そして最後の3つめはカウンセリング事業所です。

 それぞれどのような特性があるかはもっとくわしくまとめたサイトもあるため、ここではざっと概略で説明します。


 まず、精神科。こちらは心の動きそのものがあなたの人生を苦しめている際に助けてくれる場所です。気分が晴れない、感情が溢れてしまう、いらいらがとまらない、やる気がでない…こうしたケースは精神科の得意分野です。


 精神科も入院施設を併設している大きめなものから、病床を多くは確保していないクリニックなど規模はまちまちです。近年は駅前などにメンタルクリニックという名前で店舗を開いていることも多く、こちらは敷居も低く入りやすい店構えとなっています。

認知症外来や発達障害の認知が広がったこともあり、以前あったような精神科=怖い場所というイメージはほぼなく、開放的なところが増えてきている印象です。


 一方、2つめの心療内科はどうでしょうか。こちらは「心が原因となって体の症状がでている方」を対象とする場所です。

 人間はストレスがたまると自律神経というものがまいってしまいうまく働かなくなっていくのですが、この自律神経、体中のありとあらゆる機能に関係しているため「え、こんなことまでストレスが原因で起きてくるの?」といった身体的不調が沢山存在します。

 いきなりまぶしくなったり、首がぴくぴくするようになったり、脈がとんだり、便通がおかしくなったり。これらに対処するのが心療内科です。


 なので、同じ心からくる疲れ、不調であったとしても身体的な側面が強い場合は心療内科、気持ちの面での不調が強い場合は精神科と使いわける必要があります。 私の知人で、長らく精神科に通っていたものの症状が改善せず途方にくれていたところ、心療内科に切り替えた瞬間劇的に症状が改善した!という方もいました。


・・・さて、基本的にはこの2つが医療面のサポーターとなります。上記の2つはカウンセリング機能ももっている場合もありますが基本は服薬でのバランス調整がお仕事です。

 では、最後にあげるカウンセリング事業所はどのような効力があるのかというと、こちらは服薬ではなく「対話」を通じてその人の辛さの原因をさぐる手助けをしてくれる場所です。精神的な不調には本人が気付かず作り上げてきた物事の捉え方やコンプレックスが根本にある場合が多いです。ですがそうしたものはふだんは心の底に抑圧されており、なかなか気づくことができません。こうした見えざる敵を「可視化する手伝い」をしてくれるのがカウンセリング事業所となります。


 上記のような特徴を踏まえた上で、どこにまず相談にいくかを考えてみましょう。



 

2.受診時の注意点


 相談すると決めたなら、ある程度の準備をしていくことをお勧めします。具体的には自分がどのような症状で悩んでいるのか、どのような時に症状が強まるのか、一番辛いときのエピソードはどんなものか、それらを紙に整理してみるのです。

 

 というのも、精神科や心療内科は忙しい所になればなるほど初診しかゆっくりお話しするチャンスがないということもあるからです。よくある例としては初診ではある程度丁寧に話を聞いてくれたので次回もそれを期待していったところ、「どうですかーお薬のめてますかーねれてますかー。いつもの分だしときますねー」とパソコン画面から目を離さずに終わってしまう…という展開。


 実は精神科や心療内科に再診で行った場合、5分以上30分未満の面談で病院が稼げる金額はおんなじです。5分話しても3300円、30分話しても3300円。稼げる金額が変わらないならなるべく早めに面談を切り上げたいと思うのは致し方ないこと。


 なので、自身の症状について先生と膝を付け合って真剣に相談できる初診は、有効利用しないともったいないのです。大体の場合は初診である程度の診断がされてしまい、再診以降は服薬の調整がメインとなってしまうからこそ、最初の医師が真剣にこちらの話をきいてくれるタイミングを逃してはいけません。

 

 なお、精神を病む方はサービス精神が旺盛な方が多いので、医者の前ではなぜか調子よくなってしまい帰ってからぶり返すというタイプもいます。そうしたタイプの人でも、自分が一番つらい状況のときをメモしてもっていくことで、過少な診断を下されることを避けられます。


 次に、もう一つ気をつけたいのが初診時に書かされる質問用紙です。この質問用紙を書く際は、一番調子が悪いときを想定して書くようにして下さい。妙に気を遣って強がってしまうと後で後悔するかもしれません。


 また、鬱の簡易検査の用紙にはほぼ例外なく「食欲や性欲の減衰」という項目がありますが、これが見られない鬱も存在します。たとえば自分が精神を奮い立たせるために何かに依存したりドーピングが必要な方などは気付かないだけで実際は鬱の症状となっていることもあります。

 自分では明らかにおかしいと思っているにも関わらず「抑うつ状態にあるみたいですね」といった軽めの評価がでてきた場合は、別の鬱の型の可能性はないかを追及してみてもいいかと思います。


 いずれにしても、今まがりなりにも社会生活が営めている方の場合、少し強がってしまえばお医者さんは「少しおつかれなようですね」という判断で終わってしまう可能性があります。困りごとはしっかり伝えましょう。


 なお、カウンセリングの場合は初診で約40分、その後も毎回30分は対話をしていくことが可能です。が、カウンセリングは医療機関ではないため、あなたの症状についてすぐに判断し診断名をだすようなことは出来ません。何回も通って少しずつ問題の根本を紐解いていくような使い方になります。そのため、初診時は思っていたような手ごたえのある話をきくことが出来ないかもしれませんが、スロースターターで効果が出てきます。焦らずにいきましょう。


 

3.費用軽減の方法について


 心の病気については、自立支援医療制度という便利な制度が存在します。

 条件をみたす診断名および総所得であれば、医療費の自己負担が1割になるというものです。この制度は障害者手帳を持たずとも利用が可能なので、利用しない手はありません。


 特に発達障害のADHD傾向の方に処方される「ストラテラ」という薬。これ、滅茶苦茶高いですので、使う方は素直に申請しておきましょう。医師の診断書をもって市役所で手続きをすれば利用できるようになります。


 問題はカウンセリングです。こちらは保険の対象外となるため価格を下げることができません。法の隙間をついて、精神科でカウンセリングも実施している精神科等もありますが多いわけではないです。

 カウンセリングを受けたい。けれど費用が高い(大体30分で5000~7000円程)。そんな方に知っておいて欲しいサービスがあります。それが、「訪問看護」というサービスです。

 

 この訪問看護、通常は身体状況の確認のために看護師が自宅を訪問してくれるというサービスなのですが、実は身体的なリハビリだったり、精神疾患をもった方のケアだったりも対応できる事業所があったりします。

 中には精神障害に特化した事業所もあり、こうした事業所の場合は雑談含め日々の悩みを相談することも可能です。このサービスは医療の枠に入っているため、先述の自立支援医療の利用も可能となっています。事業所は多く玉石混合ではありますが、うまく繋がることが出来れば強い味方となってくれるでしょう。なお、利用に関しては主治医の意見書が必要ですので、利用の際は主治医と相談を忘れずに。


 

4.手帳をもつべきか否か


 精神科や診療内科に行った結果、立派な病名を頂いてしまい「障害者福祉手帳をもつべきか否か」という悩みに出くわすこともあるでしょう。以下に手帳のメリットとデメリットを書いておきますので参考にして下さい。


【メリット】 

①税金が安くなる

②失業手当の期間が延びる(90日→300日へ)ほか、しなければならない活動も半分になる

③子どもが保育園に通う際に、加点が大きい(市によっても違うがフルタイム労働しているのと同じくらいの加点となる)

④失業時、こどもが保育園に通っている場合は3か月以内に次の職につかないと保育園 に通えなくなるが、保育が必要な理由を本人が手帳所持者であるためと変更することで「通常時間」かつ「無期限」で保育園に通わせることができるようになる

⑤文化的な施設に無料あるいは割引で入ることができる(介助者1名分もつくので、映画であれば2000円で2人見ることができる)

⑥就職時、障害者雇用枠での採用を狙うことができる

 ※正採用は少ないものの、大手銀行などはなかなかの条件で求人を出していたりもします


【デメリット】

①新たにローンが組めなくなる可能性あり

②新規に生命保険に入れないことあり

③人によっては偏見をもたれることあり(これは最近は大分へった印象ですが…)



 ・・・見ていただければわかるように、既にローンや保険の準備が終わっている方については大きなデメリットはありません

 むしろ精神疾患が理由で仕事を続けられなくなった際などに、手帳は大きな効果を発揮することがわかるはずです。

 精神を整えつつ3か月で就活をして再出発なんてまず不可能ですし、病んだ心で育児と就活を同時に進展させるのも大きな危険があります。上記の失業手当の長期化や、保育要件の変更を上手に使い、自身の回復と次の職探しにゆっくり励むことが賢明です。


 なお、就職に不利になることはないの?という声もあるかと思いますが、手帳の所持については面接時に告知する義務はないため、クローズのままでいることも可能です。

 また、会社は一定数手帳所持者を雇わなくてはいけないことに法律上なっているため、能力の高い手帳所持者を求めている面もあります。しっかり自身を回復させ、仕事ができることを伝えていけばむしろ就労に有利に働く場面もあるかと思います。

 以上、概略ではありますが手帳取得をするか否かの参考にしてみて下さい。


 

5.このお医者さんで大丈夫かな?と思ったら


 心の病をなおしていく際、医師との信頼関係はとても重要になってきます。

 「このドクターと僕は病気をなおすんだ」と思えること。それが主治医を選ぶ際は重要です。

 一方で精神科や診療内科ほどセカンドオピニオンが必要な分野もないと言われています。診察を受ける中、「本当にこの病院でいいのか?」と悩むこともあるでしょう。結果、次から次に医者を転々とするドクターショッピングに陥ってしまうというのはよくある悲劇

 

 とりあえず、初診で木の絵をかかせてくる医者、診察中一度も目があわない医者、薬をどんどん増やしてくる医者については危険信号ありです。患者のことを大切に思うのであれば要所では必ず体を向けますし、こちらが使いたくない薬、うけたくない検査を強引に進めることはしないはずなので。

 ※絵を書かせるテストはバウムテストといって大体5000円の儲けになります。狙いをもって使う方もいるかもしれませんが、初診でいきなり書くことは稀でしょう。


 なお、セカンドオピニオンをうける際は主治医の紹介書が必要です。気まずさはあるかもしれませんが、「本当にここでいいのだろうか?」という不安をもったまま治療を続けるより、安心できるよう動くことがよいかと思います。勇気を出して医師と相談してみましょう。私自身信頼できる医師に出会えたのは4軒目の病院でしたので…。



 

6.最後に


 さて、今回は精神的な悩みを相談する際の注意点をまとめてみました。

 

 精神的な問題は、解決の方法も様々です。中には宗教によって救われる方もいるでしょうし、趣味が支えとなってくれるパターンもあるでしょう。

 ただ、本当に土台がぐらついてしまっている時。自分の感情の制御がきかない、頭が回らない、動けない…そうした状況の場合はやはり「薬」に頼らざるをえないタイミングはあると思います。

 土台がぐらついているのに、自分の上にブロックをつみあげて強い城を築こうと思ってもそれは無理難題というもの。まずはぐらつきを止めてあげる必要があります。薬は問題を根治してくれるものではありません。根治するには貴方が長年積み上げてきた性格、働き方、ストレスを少しずつ紐解く時間が必要です。その紐解きをスムーズに行うために一時的に土台をがしっと掴んでくれるもの。薬は本来そういうものです。

 

 なので、薬が必要な時は使ってください。本来頼るべきものにたよらず「自己治療」を続ければ、薬は使わずともアルコールやギャンブル、性的な倒錯などの依存に陥っていくこともあり得ます。

 ただし、薬だけで全てを解決しようとは思わないでください。薬を使っていても辛い時間は訪れます。そうした時に全てを薬に頼ってしまえば、あなたが本来もっている力を失うことになってしまいます。

 なんでもかんでも薬で対応する、一度に複数の薬を増やしてくる、といったドクターとはその薬の必要性や依存性の強さなどをちゃんと話し合いながら「薬漬け」となってしまわないようにだけはご注意下さいね。


 対人職は感情労働です。長期的に続けるならば自身の心の叫びに耳を傾け、必要なときに必要な相談相手に繋がる、必要な休みをとることが必須となります。体と違い、心は大分無茶が聞きますが、その分必ずすり減ります。

 みなさんはぬっぺふのように安易な自己治療(依存や他害)にふけるのではなく、早期に保険制度や病休をフル活用して心身の静養に努めて下さいね。


 さて、またまた長くなりましたが本日はここまで。

ではまたいずれ!

 

 



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