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痴漢や盗撮を本気で無くすため(やめるため)に必要なこと(NHK 本気で痴漢をなくすプロジェクトを見て)

 

 

どうも。元熱血教員で不祥事教員、現社会福祉士でピアサポーターのぬっぺふです。

 痴漢や盗撮は、教員の不祥事としても非常に多いもので私自身も後者の加害者です。それだけに今回NHKで行っていた「本気で痴漢をなくすプロジェクト」の特集については他人事ではない気持ちで見させていただきました。


 今回の特集では都内に通う女子高生の4分の1が、男子高校生も約3%が痴漢の被害にあったことがあるという結果が取り上げられており、「それだけ多くの方が痴漢に苦しめられていたのか」と驚くばかりでした。

 

 一方で、本気で痴漢を無くすことを目標にするのであればこのプロジェクトの目線のみでは完遂できないとも強く感じました。なぜなら、「なぜこれだけのリスクがある行為を止められない人が大勢いるのか」という加害者側への分析が薄いためです。

 

 お前も盗撮犯だから擁護しているのだろう、というご意見はごもっともです。私も盗撮の加害者ですし、性犯罪加害者が集まるグループワークに参加し、なんとか痴漢や盗撮から遠ざかり生活を送っている方達を見てきている分、一般的な方の感情に比べれば加害者よりの目線で物事を捉えているのでしょう。それでも、これだけは伝えておかねばならないとおもい今キーボードを叩いています。


 というわけで、今回は痴漢や盗撮の撲滅に何が必要かの概略を伝えたいと思います。ではいってみましょう。


 

 結論から言うと、「痴漢や盗撮は一部の変態だけが行うもの」ではないということです。

 有名な話ですが、性犯罪の中でも痴漢や盗撮については普段真面目で仕事に一生懸命で、進んで人のために動くような人物が行うことが多いとされています。こう聞くと「変態が真面目の皮を被っていきてきた、そしてその皮がはがれたのだろう」と思われるのではとも思いますが、実際は逆です。

「真面目に人のために一生懸命生きていくために変態にならざるを得なかった」が近いかと思います。


 ええ、言い訳にはなりませんとも。言い訳をするつもりもありません。ただ、この普通の人がなぜ道を踏み外すのかのメカニズムが重要なのです。詳しくは別記事でもあげようと思いますが、とてもシンプルに言うと


①「不器用なまでに真面目に他者の評価を気にしながら生きる」

②「自分を押し殺して環境に過剰に適応することで自己実現をはかる」

③「疲労の中でたまった不満感が無意識化の恨みへ変わる

 (こんなに頑張っているのにどうも評価してもらえない、生き辛い、

  周りはうまくやっている、ずるい、なんで俺だけ…)」

④「恨みのパワーが本人から見た恨みの対象や弱者の象徴である女性や子ども に向かい、痴漢や盗撮という形での暴力による支配を行うことに依存する」


といったパターンです。

(ちなみにこのパターンはDVを行う方にも共通の動きがみられるようです。そちらの場合は相手をより直接的に管理したり暴力によって支配することになります)


 より詳しく言えば、なぜ①や②になってしまうのかには本人の成育歴(発達障害や境界知能による生き辛さがあるパターンも多いです)が、③、④に関しては本人も自覚していないコンプレックスや歪んだ認知(女性に対する羨望と恐怖、男性優位な世界観など)が関係していることが多々ありますので全ての男性が痴漢や盗撮予備軍だとはいいません。


・・・ただ、「一部の変態の行動ではない、後天的になっていくものである」ことだけはお伝えしたいのです。


 そして私は自身で気付いていないだけでその素質を持つものは現代日本には非常に多いのではないかと思っています。なぜなら現代社会ほど「性の商品化」が進んだ時代はないからです(ついでに言うと堂々と小型カメラが通販で売られている時代もありません)。 

 

 女性(無論加害者が女性や同性愛者の場合は男性のこともありますが)に対して一人格として見る前に性的対象として見てしまう…こうした感覚は多くの方に身に覚えがあるのではないでしょうか。

 その感覚とストレス、そして環境(ツール含む)が整ったとき、貴方は絶対にそうした行為に及ばないと断言できますか。例えば、あなた好みの異性(あるいは同性)が終電で酔いつぶれていたとします。車内にはあなただけ。相手は熟睡しています。その時に何もしないと胸をはって言えますか。

(無論、言える人はすばらしいのでその高潔な心を大切になさってくださいね。)


 どんな形であれ、一線を越えてしまえばその影響は大きく心に根をはり、成功体験に近い環境を無意識の内に探してしまう…なんてことになりかねません。


 


 話が少し横道にそれましたが、ともかく伝えたいのは「加害者は普通に社会生活を営んでいた(もしくは営もうとしていた)常識人であり、加害の発生にはちゃんと順序があり、犯罪に至る過程も存在する」ということです。決して一部の少数の生まれながらの変態の行動ではありません。



 だからこそ、私は痴漢や盗撮を本気で無くすためにはこの①~④のサイクルが回り出す前段階で歯車をとめていくか、回り出してしまった人に対してはそのメカニズムを把握した上で歯車の動きを切り替えていく作業が必須だと思うのです。



 仮に今いる痴漢を厳罰化により撲滅することができたとしましょう。ネット上の書き込みのように、人権をはく奪し文字通りこの世から抹殺したとします。

 断言します。それでも新しい痴漢はわいて出てきます。なぜなら彼らは生まれもっての変態なのではなく、社会生活を生き抜く上でそう変わっていってしまった者達だからです。




 アルコール中毒の人はアルコールを飲むと体に悪いとわかってもなおアルコールを求めます。ギャンブル中毒の人はトータルで考えると利益になることがない状況でもなお勝負に出ます。

 それは、そうした行為によって彼らの日常はぎりぎりの所で正常を保っているからです。



…悲しい話ですが、痴漢や盗撮の常習犯も同じです。これらの行動は一種の行為依存であり、それらの行為から得られるドーパミンの中毒になってしまっているのです。


 彼らに(というと他人事みたいに聞こえるので私も)必要なのは分析と予防、発症者への適切なケアです。その目線抜きに、痴漢や盗撮、ひいてはそうした行為を行う不祥事教員の撲滅は不可能です。

 

 ・・・無論、アルコール中毒等と違い盗撮や痴漢には被害者が存在します。その点は看過できません。私もそうでしたが、犯した罪は背負うべきですし、しかるべき処罰が与えられるのは当然なこと

 

 ですが、どんなに罰を与えられても、適切な処置をしないでいれば必ず痴漢や盗撮は再発します。先述したように、一種の依存症なのですから、精神論で「もうやらない」と言ったところで脳は痴漢や盗撮を求めます

 

 重要なのはなぜそのような脳回路ができてしまったのか、そしてその回路を作動させないためにどのようなことをしていくべきなのか、それらを自己分析しながら行動の元となるコンプレックスや認知のゆがみと向き合っていくことです

 逆に言えば、そうした目線が広がっていくことで、痴漢や盗撮、教員の不祥事は確実に減らすことができるはずです。


 ・・・願わくば、痴漢撲滅も不祥事教員撲滅も、単純な患部切除と殺菌のみの対処法ではなく、発生原因から断っていくものとして進んでいくことを期待します。また、そのために微力ながらこのサイトにて当事者だったからこそ伝えられる情報の提供をしていければと思います。


というわけで、色々な批判もありそうですが今回はこのへんで。




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