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発達に凸凹がある人に起きがちな現象 at 教職


 どうも。元熱血教員で不祥事教員、現社会福祉士でピアサポーターのぬっぺふです。

 私は広汎性発達障害(ASDおよびADHD傾向)とその二次障害から障害者福祉手帳の3級所持者ですが、発達障害と一言でいっても色々です。正直、診断名ではその困りごとは判断しにくいのですが、それでも当事者研究等を読んでいる際「ああ、これあるある!」という内容に出くわすことは多々あります。

 ですので、今回は自身の経験を軸にしつつ発達に凸凹のある教員が陥りがちな状況についていくつか解説してみようと思います。


 発達の凸凹がある人にとって一番辛いのは自分の特性に気付かず、必要以上に無理をしている最中、そして特にその無理が認めてもらえない時です。もしこれから述べる内容に共感する面があるのであれば、もしかしたら貴方も何かしらの凸凹を持っているのかも・・・

 無論、もともと凸凹を持っていると自覚している方もいると思いますが、そうした方にとっては「なぜ自分はこういう所で疲れるんだろう?」というヒントになるかもしれません。 


 というわけでちょいとばっかしお付き合いくださいませ。ではいってみましょう。



 

1.空気はよめません


 よく言われますが空気、よめません。ASD(自閉傾向)の人のみの特徴と思われやすいですが、ADHD(注意欠陥多動症候群)でも空気が読みにくい人もいます。

 でも仲間はずれになりたいわけじゃないし、自分はなるべく正義側にいたいのです。結果、常に空気を分析しています。なんとなくで察するのが苦手なのです。とくに会議などの場で多数の人の思惑が入り混じると大混乱になったりします。

 

 さて、分析するというのはその空気をありのまま味わい「甘い」「苦い」と判断するのと違い、「これは赤いから辛いかも」「昔こういうときは苦かった」「あの人のあの表情!きっとしょっぱいに違いない」などの各情報を寄せ集め、そこから導きだされる結論として「これは多分甘い」と判断するという感じです。 

 …なので、自分に余裕のないときや不調なときは盛大に読み間違えることもあります。


 本人としては自分なりのロジックを使って一貫性のある対応をとろうとしているのですが、先述した読み間違いも発生するため生徒からすると「気分で怒っている」「言っていることが矛盾している」と取られてしまうこともあります。

 正義側でいたい身としてはこれが辛いのです。いっそ本当に空気を読まないレベルの発達の凸凹の方はある種超然としており周囲が合わせてくれたりするのですが、グレーゾーンあたりだとこうした周囲とのズレに傷つきがちです。



 

2.なかなか敬語が抜けません


 相手との距離感をなんとなくつかみ、なんとなく近寄っていくことが苦手です。結果同期であっても後輩であっても敬語が抜けにくい。なぜならとりあえず敬語で話をしていれば大きな間違いは避けられるからですね。ASD傾向と違いADHD傾向の方などは人懐っこく打ち解けやすい性質を持っていることが多いのですが、成育歴の中で人目を気にするようになってしまったりするとこうした特徴が出てくることもあります。

 でもだからといってプライドが無いわけではないのです。そんな中気付くとこちらは敬語なのに後輩がため口になっていてなんだかもやもやすることも。



 

3.文や話が理屈っぽく長くなりがちです


 

 話、長くなりがちです。そして理屈っぽくなりがちです。

 根底には「ちゃんと伝えなきゃ」「伝わらなかったらどうしよう」という不安があります。というのも、先述した空気のよめなさや分析間違いから「自身をちゃんと理解してもらえず否定された」経験を思春期ごろから積み上げてきていることがあるためです。


 少しでも誤解を避けたいため土台から1つずつ積み上げるように、自分で納得いくように話をしようとするのですが、思考回路が独特だったり、もともと思考回路が飛びやすかったり、話しているうちに新しい内容が浮かんできてしまったりといった様々な要因もあり、放っておくと何十分でも話し続けてしまいます。



 

4.わかってほしいから論破しちゃう



 『否定されたくない。わかってほしい。自分に丸を付けてほしい。ねえ、私間違ってないですよね?』

 …こうした思いから、論争に発展することもあります。違うんです。喧嘩がしたいんじゃないんです。「そうだね。たしかにその通りだ」と言ってもらわないと不安なのです。

 

 こうした傾向はASDタイプの人に多いようで、相手を論破するまで論争をしてしまうため、相手からすると「なんて自己中な人なんだ」となるわけですが、実際はちがっていて「同意してもらえないと不安」だから「相手から同意を得られるまでねばってしまう」。

 困ったことにこの動きは対生徒でも発動してしまうことがあります。生徒からするといわゆる「めんどくさい人」になってしまうので、そもそも生徒は話を聞いてくれなくなります。

 ※なおADHD傾向の方では自分の思ったことをつい口に出してしまうために論争になることもあります。この場合でも、実は言いたいことを言ったあとに「またやっちゃったな」と困っていたりするのです。


 …悲劇なのは空気を分析するために磨いたセンサーの敏感さがあるため、相手の表情等から「自分の言葉が届いていない」ことにはちゃんと気付いてしまうのです。結果、「まだ伝わっていない、理解されていない、誤解されている、このままじゃいけない」とさらに言葉を投げかけてしまう。

 

 正直、生徒指導に必要なのは自分の正当性を投げつけるよりも「相手が言葉を受け止められる状況をまず作ること」「相手が受け止められるように言葉をなげること」なのですが、先述したような事情からたとえ正論であっても相手に届くことがなくなってしまい更なる自信喪失につながったりします。



 

5.脳が、疲れる



 今まで見てきたように発達に凸凹がある方は「なんとなく」で動くのが苦手なことがあります。でも、承認されたいし、好かれたいし、理解してほしい。

 結果、いつも脳をフルスロットルさせて材料を集めながら今すべきこと、対応を探っています。

 イメージで言うなら定型発達の方が広角レンズで広い範囲を捉え状況把握したうえで行動しているのに対し、凸凹がある方は画角がひどく狭いかわりにはっきりと対象を見ることができる、スナイパーライフルのの照準を常に前後左右に動かしながら現在の状況を探っている感じです。そして状況を把握した結果どのように動くべきかをこれまた様々なデータから分析して動きを決定します。

 結果、非常に脳が疲れてしまいガチ。そして脳が疲れると情報処理をして動くことが難しくなり、結果感情に従って現状を誤読、対応を間違えてしまうことにも繋がり余計落ち込んだりしてしまいます。


 頭の中を言葉が渦巻いていたりします。言葉を捨てたいのですが、言葉を捨てると状況を分析するツールを捨てることにもなるので結局言葉に依存します。結果、心身ともにとっても疲れやすいです。

 発達に凸凹のある方(とくにADHDタイプ)には思春期以降猛烈な眠気が発生することが多く、原因はまだはっきりと解明されていないのですが、私的な理解としては普段脳をフルスロットルさせているために起きるのではないかと感じています。

(対人関係でどのような振る舞いをするかを本気で考えだす思春期以降に眠気が強まるのもそうした理屈かと…)



 

6.常に何か食べている、飲んでいる


 脳がフルスロットルなので疲れるのです。隙あらば眠くなるのです。不安が強くなると何かを噛みたくなるのです。結果、常に何かを口に含んでいたりします。私の場合は自分の唇の皮を歯でむいたりしてしまいました。運転中なども同様で、長距離移動の際などはお菓子を選ぶことから運転が始まっています。いっつも机の上にお菓子がある先生、いませんか?



 

7.最後に


 以上、6つばかし挙げてみましたがいかがでしょうか。貴方にあてはまる特徴はありましたか?

 …もし、貴方にあてはまらないとしても周囲の人々、同僚や生徒にはどうでしょうか?

 

 よく言う言葉ですが、困った人は困っている人であることが多いです。いつも論破するまでとまらないあの先生、こちらの指導に対し「でも・・・」を繰り返しまじめに指導をうけていないようにみえてしまうあの生徒…本人は気付かないけれどそれゆえに悩んでいるのかもです。

 自身の凸凹を理解すると、「なんでこうなっちゃうんだろう」の答えが見えてきます。敵が見えれば、対策をたてられます。同様に相手の凸凹が見えてくれば関係の結び方が見えてくるはずです。

 以上、あくまで私的な経験と知識から挙げた項目ですが、誰かの自己理解の助けとなるならありがたいことです。

 さて、では本日はここまで。またいずれ!




 

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